2015年01月16日
[ NY研修レポート ]
NY研修は、初めてのことだらけだった。
海外も初めてで、このような同業者が集まるツアーに参加するのも初めて。
写真や映像で見る程度の知識しかないNYで、自分が何を学んでどのように感じるのかという期待をこめて
貴重な時間を思う存分堪能できるよう、敢えてあまり予備知識を入れずに臨んだ。
〈クリスマス装飾/イルミネーション〉
都会の印象が強いNYだったが、伝統や文化を重んじる気質は日本以上にあった。
2 日前にロックフェラーセンターのツリーの点灯式をむかえたこともあり、街全体がクリスマスムード満載。
街を歩くと必ずと言って良いほど装飾が施され、街角では家庭用のツリーに使用するモミの木を販売し百貨店にはクリスマスグッズの売場がワンフロアで設けられていた。
このシーズンは百貨店をはじめとするさまざまな店が営業時間を延長しており、夜中まで沢山のお客さんが来店するという。
そして当日は店を閉め、クリスマスを祝う。3 週間後のその日へかける意気込みの強さを感じた。
ロックフェラーセンターのツリー | 家庭用ツリーに使用するモミの木 | 手作り感あふれるクリスマス装飾 |
どの店もあまり手が込んでいるわけではないが、賑やかな飾り付けが多く、クリスマスを楽しんでいることが伝わってくる。
また、電球色のイルミネーションを使用している所が多く、日本ではありえない位の数を使用している。
光らせ方や組み合わせの工夫されており、優しいオレンジ色の光は温かみがあって非常に良い雰囲気だった。
Salvatore Ferragamo | Saks Fifth Avenue | macy's |
〈Chelsea Market - チェルシーマーケット〉
ナビスコ工場をリノベートして造られた、フード中心のマーケット。
外からみたら古いビルのようだが、中に入ると一本の長い通路があり、その両側に多数のショップが並んでいる。
中心付近には壁いっぱいに張り巡らされた無数のイルミネーションのアーチがありひときわ目を引いた。
犬も歩き、通路の至る所にテーブルとイスが置かれていてまるでアーケード街を歩いているような気分を味わえる。
内装は、昔の趣が十分に残されたむき出しの配管やトタン屋根がメインとなりそこに当時の歴史をうかがえる写真や絵も飾られていた。
30 以上ある店舗はNYの有名店ばかりとのことでサンドイッチ・マフィン・スープなどのベーカリー系が目立った。
他にはスパイスの量り売りやキッチン雑貨・生鮮食品の店なども入っており、インテリア・サイン・パッケージなどに各店舗の個性が思う存分発揮されていてカラフルで賑やかなアート空間となっていた。
建物とは対照的に最先端を行くNYらしい充実した内容で、歴史と流行を同時に堪能できるとても魅力的な建物だった。
〈bloomingdale's - ブルーミングデールズ〉
1872 年創業の老舗高級デパートを公式訪問。VMD の責任者より店舗を案内していただく。
外観は各国の国旗が掲げられており、「老舗」という言葉にふさわしいような歴史の重みを感じたが、WD はデジタルサイネージや電飾を使用したりと、NYらしいオシャレでポップな装飾となっていた。
今年の装飾デザインはスターボウがモチーフ。モノトーンのベースとしたWD の中にさまざまな方法でモチーフを表現。
中に入るとVP スペースがあり、天井に取付けられたリボンがとても迫力があり印象的。
積み上げたプレゼントBOX に座ったマネキンが出迎えてくれた。
いかにもクリスマスというような、モミの木やイルミネーションではなく、とても洗練された印象を受ける。
WD | 入口VP | 店内DP | ファッションカレンダー |
奥には「ファッションカレンダー」というものがあった。一ヶ月ごとにテーマを決め、それを館内全体で共有するための元となるもので、大きく掲げられていた。
基本的考え方は日本とそれほど変わらないが、それの提示方法の明確さは日本以上のものがあった。
日本では基本となるビジュアルを館内全体に配置することで統一感を出すことが多いがこちらでは、カラーやテーマを重視することで館内全体の統一性をはかっているようだ。
各フロアにそれぞれ違うシルバーを基調とした装飾にモノトーンのファッションのマネキンがディスプレイされていて、それぞれブランドもマネキンも違い、値段表示やビジュアルがあるわけではないのにみごとに統一されている。
また、印象的だったのが「マネキン」というツールを最大限に利用しているということ。
種類が豊富で、日本にはない大胆なポーズのマネキンも多数ある。ただ服を着せるだけではなく展示方法で工夫したりマネキン自体に装飾をほどこしたり、見る人を楽しませるようなディスプレイばかりで大変参考になった。
〈まとめ〉
NYはとても魅力的な街だった。
都会のイメージが強かったが、バッテリーパーク・ハイライン・セントラルパークなど、自然を感じる場所が沢山あった。
ミートパッキングディストリクト・SOHO・ウィリアムズバーグは、街がまるごとアートで見ているだけで楽しい場所。
歴史を感じる趣ある建物も沢山残っていて再開発地区も多く、ほんの少しの距離で全く別世界のように感じられたりもした。
古いものと新しいものが自由に融合して、人と街を作っている、そんな印象を受けた。
そして、日本との文化の差を随所で感じたのが、いろんな意味で「大胆」で「大雑把」なこと。
英語が通じないと分かっても、懲りずに英語で質問してくる人。
料理の味が付いておらず、ケチャップなどで自分で味付けをする店。
華やかなディスプレイの隅に大きなホコリが溜まっている店。
歩道に落ちている吸い殻の多さ。
公共施設のトイレが日本でいう海や公園並で、衛生面が気になる店。
狭い4 車線の混雑した車道で車線変更を繰り替えす車の多さ。
このような状況に度々合い、日本の細やかさを肌で感じることができた。
今回の研修では、表現方法について沢山学んだ。
デザインに関しては日本とあまり差がないように感じたが、それでも日本とは違う魅力を感じるのは「自由」で「大胆」で「大雑把」だからかもしれない。
思いや考えを伝えるためにはさまざまな考慮するべきことがあるがそれらをどのようなタイミング・ボリューム・相手・方法で伝えるかが重要。
NYはそれがとても明確で積極的に示しているところが魅力的で、とても良い刺激となった。
今回学んだことを是非今後とも活かしていきたいと思う。
(株)ヤマトクリエーション金沢
営業部 デザイン室 福島 優
投稿日時:2015-01-16