マネキンの全て

Maestro 現代巨匠伝

マネキンのすべて 続編1996年〜2000年

マネキンミュージアム

岡田茂樹(おかだ・しげき)

1961(昭和36年)
滋賀県生まれ
大阪芸術大学 美術学科 彫塑専攻で学ぶ
1983(昭和58年)
吉忠マネキン(株)に入社し、原型作家としてアトリエへ配属
1994(平成 6年)
この年度から毎年コレクションを発表
1996(平成 8年)
京展に初出品 ( 桂田茂樹名にて)
1997(平成 9年)
京展にて京展芸術文化協会賞受賞
英国『アデル・ルースティン』のアトリエにて、
初めて原型制作ジョン・テーラーに師事
1998(平成10年)
ファッションイラストレーター故 矢島功とのコラボレーションで、
日本人モデルによる原型制作
1999(平成11年)
和紙アーティスト堀木エリ子とのコラボレーションで和紙マネキン開発
2001(平成13年)
脱着式スカルプマネキン用ヘッドを開発し意匠登録
2003(平成15年)
ギャラリー三条にて個展
2004(平成16年)
制作拠点アトリエを東京店に移転
2005(平成17年)
京都新鋭作家選抜展に出品
2009(平成21年)
ルースティンの英国アトリエにて新作原型制作
2011(平成23年)
現在、吉忠マネキン(株)のデザイン部統括部長

岡田がマネキンのコレクション創作を許されたのは、吉忠マネキンに入社してから11年後(1994年)の事だった。 当時、吉忠マネキンは、ツイギーで一躍有名になった『アデル・ルースティン』とのロイヤリティ契約がスタートしていた。岡田は、『アデル・ルースティン』の偉大な天才原型作家ジョン・テーラーのもとで自分のコレクション制作に邁進し、リアルマネキンの真髄に傾倒していった。「人体を表現するにはリアルが最も美しく、最も高度な技術だ」と岡田は語る。

2004年、アトリエを京都本社から東京造形室に移した岡田は、アトリエ営業としてもマルチな活躍をする。クライアントとのコミュニケーション頻度が増え、社内外から頼られる立場になった岡田は、聖域に近かったアトリエの門を社内外に大きく開き、これまでのアトリエ概念から見事に脱却した。 2009年、新作『NEO』を発表する。市場からの強い要望を請けての抽象マネキンだ。岡田は、どうせ作るなら自分にしか作れない抽象マネキンを制作すると決意した。『NEO』は、抽象マネキンでありながらしっかりとリアルな肉体を持っている。まるで「これが岡田の抽象マネキンだ」と語りかけてくるようだ。 「美」を探求し続ける岡田は、人知れず毎朝早くから出勤し、一人で制作に励む時間を自ら作り出している。

2003年作 凛とした女性の美しさ

1998年作『COAT』

2009年作 新しい抽象の可能性を追求した『NEO』