マネキンの全て

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マネキンのすべて

日本のマネキン 〜人と作品〜

高度な造形力・技術力・創造力の結晶 マネキンの制作工程

つねに新鮮でユニークなマネキンは、どのような製作工程を経てつくられているのだろうか。そこには高度な造形力と技術力が求められ、そしてアーティスティックな感性が、すばらしいマネキン創造のべースを担っている。

新しいマネキン、オリジナルマネキンは、まず開発企画会議から始まる。そこでは最新のファッション情報、店舖ディスプレイの動向、生活者の消費志向などが分析される。そしてアート感覚と技術に裏付けされた、豊かな表情、ポーズ、感性を満たすマネキンの開発が企画される。

マネキンの製作にあたっては手づくり感覚が、きわめて重要視される。FRPのマネキンは大きく分けて8つの工程を経て完成するのだが、驚くほどの時間と人手を費やする。

制作手順
1.粘土原型制作

製作段階の第一歩はマネキンのデザイン、基本パターン、ポーズ、体形が粘土によって形づくられる。アーチストはモデルと向き合い、作業も真剣そのもの。高い芸術性と彫塑力を必要とする。

  1. 粘土で肉付ける体形づくりモデルをもとに全体のバランスを整える
  2. 粘土の凹凸をなめらかに均す粘土原型仕上げ
  3. 粘土原型の最終チェックを行う
2.石膏型取り

基本体形を石膏で型取る。抜き取った型は、マネキンを複製してゆく製作工程のベースとなる大事な作業の一つだ。この基本作業からマネキンづくりが始まる。

  1. 粘土原型の上から刷毛で石膏を塗布
  2. 再び石膏を塗布し厚みを付ける
  3. 自然石膏の厚みが付くとさらに化学石膏で重ね塗り
3.マスター原型づくり

粘土でつくったマネキン(粘土原型)を、そっくりそのままプラスチックに複製する作業。これが量産型をつくる基本体となる。合わせの際のズレや歪みなどの厳重なチェックが徹底して行われる。

  1. 石膏を割るとプラスチックに複製されたマスター原型が
  2. 細部・複雑な曲面などはサンドペーパーで
ポリ型(量産型)制作

ここからが製品工程で、同じマネキンを何体も生み出す目的の量産型をつくる作業となる。作業自体はマスター原型づくりとほぼ同じだが、これをベースに100体近くのマネキンが誕生してゆくので、正確で頑丈なものをつくりあげていく。

  1. マスター原型から量産型をつくる。割型ラインにそって粘土で壁を
  2. ゲルコート樹脂を塗布
  3. ゲルコートの上にガラス繊維の粉を満遍なく 振りかける
  4. ガラスクロスを刷毛で丹念に張り付ける
  5. 一見鉄製と見間違えるほど厚みの付いたポリ型
成型(FRPマネキン複製)

この製作工程でマネキンの原型(白地仕上り)が登場する。この段階はまったくの荒削りで、さらに地吹・下地・彩色を経て製品化してゆく。成型とは、はだかのマネキン人形をつくる作業だ。成型時の作業は次のような手順を踏んで行われる。

  1. 割型の凹面に離型剤、ゲルコートを塗布
  2. ガラス繊維の張り込み作業
  3. 手・足・胸部・顔…割型すべてに同じ作業が
  4. スクリュードライバーでしっかり締めつける
  5. 厚みの付いたFRP。マネキンの原型が誕生する
6.地吹(肌色指定色塗装被膜法)

マネキン人形の色は性格や製品企画によって異なる。地吹とは、スプレーガンで表面を白地仕上げに塗布する作業で、マネキンの肌の色や、つやはここで仕上がる。

  1. スプレーガンで指定の肌色を
  2. 手足・その他各部分も同様に
7.下地づくり

下地は、アイシャドーやマニキュア、口紅、頬紅などを着色する作業。メイクアップの際は、筆によって修正、仕上げされる。

  1. シャドーや紅を着色
  2. 指定色を作り出す技術も重要な役割を果たす
8.メイクアップ(彩色・ヘア)

最終工程のメイクアップ。デザインカラーをつける段階で、細い筆でまゆ毛を描いたり、口紅、その他の修正が行われる。そして最後に、彩色、ヘアの細かいチェックが行われ、マネキンが完成し、商品化する。

  1. マネキンの表情づくり
  2. 筆で一体一体丹念にメイクアップ
  3. かつらの製作