マネキンの全て

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マネキンのすべて 続編1996年〜2000年

マネキンミュージアム

マネキンが出来るまでの工程

新鮮でユニークなマネキンやオリジナルマネキンの製作は、まず開発企画会議から始まる。そこでは最新のファッション情報、店舗ディスプレイの動向、生活者の消費志向などが分析され、ディスプレイを華やかに彩り、 魅力あふれるマネキンのイメージコンセプトが作り上げられる。このコンセプトを基に、原型作家によるマネキンの粘土原型制作がスタートする。手作り感覚がきわめて重要視されるマネキンの製作は、大きく分けて7つの工程を経て完成するが、そこには、高度な造形力と技術力、そして驚くほどの時間と人手が費やされる。

1 粘土原型制作
制作段階の第一歩はマネキンのデザイン、基本パターン、ポーズ、体形が粘土によって形づくられる。実制作に入ると、原型作家の作業も真剣そのもの。足下からヘッドにいたる詳細な部分まで入念に制作するため、高い芸術性と造形力が必要とされる。
2 石膏型取り
完成した粘土原型を石膏で型取り、区分けされた粘土原型のパーツ毎に、ラインに沿って石膏型をはずす。抜き取った型は、マネキンを複製していく製作工程のベースとなる大事な作業の一つだ。
3 マスター原型づくり
粘土原型を、そっくりそのままプラスチックに複製する作業。これが量産型を作る基本となるため、入念なチェックが必要とされる。粘土原型では着衣検証が完全に出来ないため、この段階で実際に衣装を着せて着心地感やフィット感を検証するとともに、各パーツを合わせる際のズレや歪みなども厳重にチェックが行なわれ、不具合がある場合は微調整が行なわれる。さらに、傷一つ無い表面に仕上げるため、粗研磨から仕上研磨まで段階毎に徹底的に磨き上げ、マスター原型としての完成度を高めて行く。
4 ポリ型(量産型)製作
ここからが製造工程で、同じマネキンを何体も生み出す量産型を作る作業となる。このポリ型をベースに100体近くのマネキンが誕生していくので、歪みのない頑丈で精度の高い型を作り上げなければならない。
5 成型(マネキンの複製)
この工程からマネキンの量産が始まるため、安定した品質とスピードが要求される。成型時の手順は、ポリ型にゲルコート剤を塗布し、その上からガラス繊維布を張り込み、各接合部に肩板、胴板、足継、手継などの部品を所定の位置に装着する。 また離型後には、継ぎ目にはみ出した樹脂のバリを落とし、その上にパテをつけ継ぎ目のラインを消していく。最後に全身研磨をおこない、表面を仕上げる。
6 地吹
マネキンの肌色は、性格や製品企画によって異なる。地吹きとは、スプレーガンで表面を塗布する作業で、マネキンの肌の色や艶はここで仕上がる。
7 ヘアメークアップ(彩色・カツラ)
まずスプレーガンで、アイシャドーやマニキュア、口紅、ほほ紅などの下地づくりをおこなう。その後、細かい筆で眉毛や口紅など、詳細な部分を描き込み、既存のマネキン用カツラ、または新たに製作したカツラを被せて、マネキンが完成する。

1 粘土原型制作

1. イメージするデッサンを描き、これをもとにマネキンを制作する。

2. 鉄の棒を曲げて骨組みを作る。
 

3. 「しゅろ縄」を巻き付けて、粘土が付きやすいようにする。

4. 骨組み土台に、粘土で大まかな肉付けをする。
 

5. 粗く全体像が出来上がる。
 

6. 各部のサイズを確認しながら、さらに肉付けをおこない、仕上に向う。

7. 顔の制作。

8. ポーズとヘッドの向き、あるいは目線の動きなど、細部に注意を払う。

9. 粘土の凹凸をならし粘土原型の完成。

2 石膏型取り

1. 型を分割するラインに沿って、薄い金属板を差し込んでいく。

2. 粘土原型の上から、
石膏を塗布して重ねていく。

3. 顔の表面は、気泡が入らないように特に注意をして石膏を付けていく。

4. 固まった石膏を、区分けされたパーツ毎に、分割ラインに沿って外す。

5. 慎重に一面ずつ取り外して、付着した粘土を落とす。石膏型の完成。

3 マスター原型づくり

1. 石膏型にゲルコート材を塗布、ガラス繊維布を貼って丈夫にする。

2. 粘土原型と同じ形のマスター原型が
出来上がる。

3. マスター原型の完成形をイメージ確認する。
 

4. 傷一つ無いように、表面全体を段階的に磨き上げていく。

5. 分割されたパーツ毎に、ジョイントするための部品を取付ける。

6. 各ジョイント部分にズレがないか確認をする。
 

7. 軽くて丈夫なマスター原型の完成。

4 ポリ型(量産型)製作

1. マスター原型から、頑丈な量産型となる雌型をつくる工程に入る。

2. 樹脂に浸したガラス繊維布を、内側に気泡が出ないように張り込む。

3. ガラス繊維布を何枚も重ねて、
頑丈な型にする。
 

4. 顔はシリコンで型取りをする。

5. 顔は形状が複雑なため、弾力のあるシリコン樹脂が必要となる。

6. ポリ型の出来上がり。

5 成型(マネキンの複製)

1. ポリ型の内側に離型剤を塗布し、樹脂を満遍なく塗布する。

2. 樹脂に浸したガラス繊維布を、内側に気泡が出ないように張り込む。

3. 手・足・胸部・顔など、すべてのパーツに同じ作業を繰り返す。

4. 各パーツの前面と後面を、スクリュードライバーでしっかり締め付ける。

5. 顔のシリコン型に樹脂を塗り、ガラス繊維布を丁寧に貼り込む。

6. 各パーツの接合部に肩板、胴板、足継、手継を所定の位置に取付ける。

7. 各パーツ毎に離型する。
 

8. 離型した段階では、継ぎ目に樹脂がはみ出しバリが出ている。

9. 継ぎ目のバリを削り、パテ埋めと同時に継ぎ目のラインを消していく。

10. 顔を接合する。

6 地吹

1. 指定された肌色のラッカーを、スプレーガンで塗装する。

2. 手足やその他のパーツも、同様に塗装する。

3. マネキンが出来上がる。

7 ヘアメークアップ(彩色・カツラ)

1. 唇など各パーツに、
ラッカー塗料を吹き付けていく。

2. 眉をいれる。
 

3. 目と眼球をいれる。細い筆を使用し、細かな部分を油絵具で仕上げる。

4. 一体一体丹念にメークアップを完成させる。

5. カツラを被せる。

6. マネキンの完成。