マネキンの全て

Maestro 現代巨匠伝

マネキンのすべて 続編1996年〜2000年

マネキンミュージアム

翁観二(おきな・かんじ)

1937(昭和12年)
彫刻家 翁朝盛の長男として東京に生まれる
1948(昭和23年)
第 3 回東北美術展(仙台)初出品、奨励賞受賞
1961(昭和36年)
多摩美術大学 彫刻科卒業
東京マネキン(株)= 現(株)トーマネにマネキン原型社員として入社
1962(昭和37年)
行動美術初出品、初入選、以降連続出品
1967(昭和42年)
行動美術会友賞受賞、会員に推挙される
1968(昭和43年)
第8回現代日本美術展(東京都美術館)出品
1970(昭和45年)
東京マネキン(株)= 現(株)トーマネの取締役就任
1974(昭和49年)
第 11 回日本国際美術展(東京都美術館)出品
1975(昭和50年)
宮城県芸術選奨受賞
1978(昭和53年)
東京マネキン(株)= 現(株)トーマネの取締役企画本部長就任
1983(昭和58年)
東京マネキン(株)= 現(株)トーマネの常務取締役企画本部長就任
1988(昭和63年)
みやぎの5人展(宮城県美術館)
2002(平成14年)
(株)トーマネの監査役就任
2004(平成16年)
宮城県教育文化功労者受賞
2008(平成20年)
(株)トーマネを退職
2011(平成23年)
現在、作家活動とゴルフに勢力的に勤しむ毎日

翁は1937年、彫刻家・翁朝盛の長男として東京都に生まれ、宮城県に疎開した1945年から、父朝盛を師匠として彫刻を習い始めた。

1961年東京マネキン(現:トーマネ)に入社して以来、翁は原型作家として、「品の良いマネキン」、実用本位ではなく「付加価値として説得力のあるマネキン」を目指して制作し続けて来た。

翁が最も大切にしているのは、「自分の好きな顔を作ること」だと語る。自分の感性を信じ、それをごまかすことは決してない。その自信を保つために、常に美的レーダーを張り巡らせ、その感性に磨きをかける努力を怠ることはない。

翁にとって、マネキン制作の醍醐味は「商業美術」であるということだ。ある枠に縛られながら美を追求することは、純粋芸術より遥かに面白く、感性を刺激するものであった。しかしそれは、世論に迎合するのではなく、クライアントが本当は求めているが「気付いていないもの」を引き出し、説得し、形にしていくことである。

翁の制作するマネキンには、彫刻の手法がふんだんに使われており、彫刻とマネキンのモダンな融合が人々を魅了して止まない。なかでも『FM-210N』などの紳士マネキンには、そこはかとなく色気が漂う。これは、繊細で細やかな心遣いの出来る大人の男、翁自身が持つ色気であろうか。

1988年作 カラー樹脂を使用

1995年作 ソルジャリーな都会の女性

1995年作 ミステリアスな表情

1995年作ワイルドな色気が漂う『FM-210N』

1995年作 ミステリアスな表情

1995年作ワイルドな色気が漂う『FM-210N』